New Orderの最新アルバム

を聴いた。前作
Get Ready

Get Ready

が(New Orderの過去の作品に比べて)あまり出来が良くなかったので期待していなかったんだけど、これが予想以上に素晴らしい。
 思えば90年代のNew Orderはオリジナル・アルバムは93年発表の
Republic

Republic

のみで、各メンバーはそれぞれ別々にバンドを結成して活動をしていた。その原因がメンバー間の不仲であることは有名な話だが、80年代後期に勃興したセカンド・サマー・オブ・ラブなどのムーブメントに象徴される、新しいテクノ・ミュージックとの距離感を掴みかねたことも推測される。*1『Get Ready』発売直後のインタビューでバーナード=サムナーは「またNew Orderとして活動することの意義を見出す作業が重要だった」というような意味の発言をしているが、『Waiting for the Sirens' Call』を聴くと『Get Ready』がNew Orderとしての活動のためのエチュードであったことが明瞭に解る。
 やっぱりNew Orderは偉大だわ。聴いてると震えるもん。相変わらず演奏も歌も下手だけど、それが単に下手とかじゃなくて、何ともいえない味わいを出しているし、歌詞も相変わらず思春期文系男子の煩悶と憧憬をテーマにしているけど、「またこのパターンかよ」とかじゃなくて、突き刺さるような新鮮さがあるし。スタイルを崩さずに新しく、かつ素晴らしい作品を作り続けられるというのはすごいことだ。そういう意味ではNew OrderP-MODELがぼくにとっての二大巨頭だな。

*1:その点に関してはKRAFTWERKの活動により明瞭な形で見られる。86年に発表されたアルバム

Electric Cafe

Electric Cafe

の後、91年に発表されたアルバム
THE MIX

THE MIX

は過去の名作のセルフ・リミックスだし、2000年に発表されたシングル
Expo 2000

Expo 2000

や03年に発表された17年ぶりのオリジナル・フルアルバム
Tour De France Soundtracks

Tour De France Soundtracks

は過去の珠玉の名作に比べると、完成度と斬新さの点で劣っていると言わざるを得ない。また、98年のワールド・ツアーで演奏された"Tango"と"Tribal"はPVが出たのみで、結局商品化されていないことも指摘しておく。