環境と人間。

 ぼくの両親は共に50代なのだが、コンピュータのことをあまり理解していない。たまにパソコンやインターネットについて説明するのだが、まったく理解してくれない。ぼくの説明の仕方が下手だというのもあるが、やはりものごころついた時にファミコンがあったぼくの世代と、子供時代の玩具と云えば竹馬とかけん玉とかゴム跳びとかお手玉しかなかった親の世代では、テクノロジーに対する習熟度が違うのは当然だと思う。
 もし、ぼくの親が突如インターネットを始めて、ぼくのはてな日記を読んだら、他の書き込みをしてくれている人々に対して「いつも息子がお世話になっております」などと数十分かけてコメント欄に書きはじめるのかもしれない。いくら50代とはいってもこんな事をするのは極端過ぎるとは思うが、ネットや携帯電話を子供の頃から接している世代と、それ以前の世代では、コミュニケーション・モデルはかなり違うと思う。
 人間は言語を獲得して以来、自然環境を己の技術によってつくりかえてきた。そして新しい技術は、外界を改変するだけでなく、常に人間自身の自己認識すら変えてきたのである。
 そういう意味で、テクノロジー、特にメディアとコミュニケーション・モデルあるいは人間観の関係性について考えることは重要だと思う。そして、そうした観点に立脚し、統計的、あるいは抽象的な人間把握の限界をわきまえている世代論は、信用できるような気がする。