日野日出志先生インタビュー。

http://news.www.infoseek.co.jp/entertainment/story.html?q=03gendainet07115662&cat=30

 ぼくが日野先生のマンガを最初に読んだのは、憶えている限りでは『毒虫小僧』だ。小学生の時に、風邪を引いて近所の病院の待合室で読んだ。そのグロテスクさ、残酷さ、狂気の渦に震えおののきながらむさぼり読むように読んだ。怖くて目をそらしたいにも関わらず、「途中で読むのを止めたら呪われる」などとわけのわからない強迫観念にかられながら読んだ。
 荒俣宏さんが

などで指摘しているように、恐怖の物語に震えおののくことは快感なのだ。だから楳図かずお先生や、漱石の「夢十夜
文鳥・夢十夜 (新潮文庫)

文鳥・夢十夜 (新潮文庫)

や、その他、古今東西数多くの怪談は全て、極上の娯楽といえる。
 日野先生の作品は単に狂気と恐怖の物語ではなく、郷愁や思慕の物語でもある。「グロテスクだからいい」のでもなく、「グロテスクの中に人間的な感情が込められている」のでもなく、様々な情念が渾然一体となっていながらも作品という形で結晶化していることにこそ、日野先生の作品の素晴らしさがあると思う。

 余談だが、ぼくは日野先生を二度お見かけしたことがある。一度目はコミケ*1、二度目はマンガサミットで。作務衣の良く似合う、古武士のような方だった。

*1:新谷かおる先生がコミケに参加したとき。