やばい、超やばい。

武装錬金 1 (ジャンプコミックス)

武装錬金 1 (ジャンプコミックス)

の1〜5巻読了。
 このマンガは未チェックで、「流行っているみたいだから読むか」という軽い気持ちで読み始めたのだけれど、これが半端なく面白い。熱血少年マンガの王道を行きつつ、新鮮さを充分に持っている。
 これは1974年生まれの、オタク第二世代の個人の実感でしかないのかもしれないが、エヴァンゲリオン以降、「萌え」が大量に発生し、「Air」に代表される「君と僕」の純愛や、セカイ系的な作品、そして東浩紀id:hazuma)さんの言う「大きな非物語=データベース」がOTAKU系文化の中で注目されてきた。しかし、今、OTAKU系文化はまた新たな局面を迎えようとしている。おそらく、OTAKU系文化において、今、もっとも必要とされているのはデータベースを熟知し、いかなる作品を作ってもそれがシミュラークルに過ぎないことに絶望せず、逆にデータベースを駆使しながら小さな物語をフル稼働させることのできる作り手だろう。和月さんはその一人だとぼくは思う。
 この点について考えるとき、見逃せないのは東さんの理論と大塚英志さんの理論だ。彼ら二人の理論を併せ持つような作品――粗雑で乱暴な表現で申し訳ないが、「ガンダム」や「ファイブスターストーリーズ」のような精密な設定と世界内の歴史を持ち、「萌え」と「燃え」を喚起させつつも先行作品の模倣だと感じさせないだけの勢いのあるキャラクターを描き、作品内の全てが受け手を圧倒するような描写に支えられた物語、90年前後のOTAKU作品に見られたハイレベルな設定の構築力のと、エヴァ以降のデータベース的想像力を兼ね備えた作品がこれから続々と出てくるだろう。
 もはやアニメやマンガやゲームを中核としたOTAKU系文化は子どもだましでも非モテ系の愛玩物でもない。これは素晴らしい文化だ。ぼくは今、ここでOTAKU系文化を享受できることを本当に嬉しく思う。