オタクを描くマンガ。

http://char-custom.net/b/0501/1419.html

 上記の記述で想定されているものとは違うが、オタクの格好良さを描いたマンガの最高峰は間違いなく、

大同人物語 (1) (Gum comics)

大同人物語 (1) (Gum comics)

である。
 ぼくはオタク、またはOTAKU文化をネタにしたマンガは努めて読んでいるが、その多くは
げんしけん(1) (アフタヌーンKC)

げんしけん(1) (アフタヌーンKC)

のようなオタクの視点からオタクの日常を描いたマンガだった。その中で「大同人物語」と
全日本妹選手権 Vol.1   アッパーズKC

全日本妹選手権 Vol.1 アッパーズKC

濃爆おたく先生 1 (マガジンZコミックス)

濃爆おたく先生 1 (マガジンZコミックス)

は異質であり、中でも「大同人物語」はパロディ同人誌という、ある意味でOTAKUのコアをメインモチーフとして扱っている点は非常に興味深い。……平野さん、続き描いてくれないかな。

 「究極超人あ〜る」と「げんしけん」はしばしば比較されるが、決定的な相違点がある。それは、第一に「究極超人あ〜る」は「光画部」という名の写真部をおたく的な視点で描いているのに対して、「げんしけん」は「現代視覚研究会」という名のオタク部(漫研ですらない)をオタク的な視点で描いていることである。第二に「究極超人あ〜る」は「外道照身霊波光線」とか「バーラダギバーラダギ」など、過去のアニメ、マンガ、特撮などのパロディに満ちているが、「げんしけん」にはそれがなく、代わりに「くじ引きアンバランス」という架空の作品を設定し、さらに作品内キャラクタ―がそれに対するレヴューをするというメタフィクショナルな構造を持つことである。第三に「究極超人あ〜る」は終わらないオタクの楽園を描き、主人公は成長しない*1作品だが、「げんしけん」は主人公のオタクとしての成長物語になっている。
 この三点はオタクの時代性を比較する上で重要だろう。

*1:というよりもあ〜るはアンドロイドだし、厳密に言えば、「究極超人あ〜る」は主人公不在のマンガである。