Middle Earth forever!

 7時前に起床。ほとんど寝られなかった。朝食をとって、仕事をする。
 そういえば、先日、ついに

をDVDで観た。第一部と第二部は劇場に観に行ったのだけれど、第三部上映当時はぶっ倒れていたので観に行けなかったのだ。
 この映画は(三部作を一つの作品として)、ぼくが今まで観た映画の中でもっとも面白い作品だ。原作を知らなくても素晴らしい出来だと思うし、ぼくのような熱狂的な原作ファンから観ても、文句のつけようがない出来である。*1配役、ストーリー展開、映像美、どれをとってもため息が出るほどの完成度である。
 ぼくは
文庫 新版 指輪物語 全9巻セット

文庫 新版 指輪物語 全9巻セット

のキャラクターやストーリー、特に指輪という強大な力を持つ魔法具をめぐる様々なキャラクターの思いを丹念に描いているところももちろん好きだが、一番好きなのは、その世界観の緻密さである。作者のトールキン言語学者だけあって、中つ国の歴史や地理だけでなく、各種族の風習や言語に至るまで詳細に設定しており、作者自ら「準創造」と呼ぶに相応しい作品と言える。なんかね、「指輪物語」読んでると「わー、ぼくもレンバス食べたい!」とか「ガンダルフの花火観たい!」とか「サムがエルフを一度でいいから見てみたいっていう気持ちわかるなー」とか強く思うですよ。読んでいると、読書をしているということを忘れて、自分も旅の仲間と一緒に旅をしているような感覚に襲われるもん。映画版も同じ感覚がするんだよね。それに(ガラドリエルの奥方を除いて)原作を読んで頭に思い浮かべていたイメージがそのまま映像化されているし。ああ、でもゴクリとエルロンドはいい意味でぼくが考えていたイメージと違ったかな。
 で、完結編である「王の帰還」なんだけど、「旅の仲間」と「二つの塔」を観た時は感動のあまり、劇場でボロボロに泣いたんですよ。ガンダルフがモリアの坑道でバルログと対峙するシーンとか、ボロミアが死ぬシーンとか、一人で旅に出ようとするフロドをサムが追いかけるシーンとか、セオデン王が戦いの前に苦悩逡巡するシーンとか、ガンダルフが再び現れるシーンとか。
 でねでね、「王の帰還」といえば原作で言えば、シェロブと戦うシーンとかラストシーンとか感動の名場面が目白押しじゃないですか。だから今回も号泣するかと思ったけど、意外とあっさり観られたですよ。まあ、シェロブとの戦闘シーンは戦闘描写に終始していて、サムの内面描写とかがなく、あっさり終わったからというのもあるんだけど。
 でもやっぱり素晴らしい映画だと思います。ちょっと、これを超えるものは、もう一生観られないんじゃないかと思うくらい。未公開シーン入りのボックスセット買おうっと。
 あ、あと、英語版の字幕は最悪。日本語吹き替え版のが翻訳はマシだと思う。でもやっぱり、サムの一人称は「おら」で語尾は「〜ですだ」じゃないとね。

 昼頃から体調が悪くなり、再び休む。夕食後、わりと落ち着いてきたので仕事をする。
 先ほどコンビニに行ったときに有線でどこかのパンクバンドの曲が流れていて「君に勇気を出して話しかけたよ」みたいなことを何度も繰り返していて、すっごく気持ち悪かった。男性が密かに好きだった女性に勇気を出して話しかけたということを主題に曲を作ること自体が気持ち悪いんじゃなくて、曲調が今時のよくある感じで、全然ぐっとくるものがなかったので、「好きな人に勇気を出して話しかけた」ということの喜びが全然伝わってこなかったから。こういうのって、女性からするとかなり気持ち悪いのではないかと思う。
 ぼくは、創作においてはあらゆる制約なしに、何をモチーフにしても良いと思うけど、それを不特定多数に発表する場合は、ましてやそれでお金を取ろうとするなら、それだけの説得力は必要だと思う。特に、性や暴力などをテーマにする場合は。だから、性行為(とりわけレイプなど)や殺人などを美学化して描く場合には単にそれが娯楽しか与えないようなものは、今後、益々非難されていくのだと思う。ぼく個人としてはそういったものもあっても良いと思う。要は受け手のリテラシーとそれを公開する際に観たくない人への配慮の問題だから。
 ぼくは、エロマンガやエロゲ―などのある意味で男性オタクのコアな部分に属するジャンルが好きだが、そういったもの、そしてそもそもマンガやゲームに興味がない人たちに、それらを必要としている人々が少なからぬ数で存在していて、そういった人たちがそういうものを好きだからといって、短絡的に性犯罪に走るわけではないということを説明するのは非常に難しい問題だと思う。ぼくはこの数年、微力ながらそうした人々との対話を行い、OTAKU文化に対する表現規制への反対活動をしてきたが、今日の体験を通じて、本当に難しいことだと改めて思った。

*1:あえて言うなら、ガラドリエルの奥方がぼくの抱いていたイメージと違う点くらいか。