絵柄と萌え要素。

 id:hhosono:20050217#p5で最近のやおい系の絵柄について書いたら葡萄瓜XQO(id:XQO)さんからトラックバックが(id:XQO:20050219)。

この輪郭*1は萌え要素と言うよりはディフォルメの行き着いた先ではないか、と筆者は認識しております。

単なる流行と言うよりは、何らかのお手本の下に類似の絵柄が増殖していったと言う印象もありますね。

 このことに関してはid:hhosono:20031010でちょっと関連することを書いたことがあるけど、視覚的なキャラクター・デザインの記号的表象としての萌え要素の中には絵柄の形式化によって作られたものがあると思います。触覚とか。例えば、(主に)男性向けの萌え絵でも目が大きくて、鼻と口は簡略化されるというのが大きな傾向としてあり、この様式は流行っているにも関わらず、多くの消費者はそれが「好き」ではあるだろうけれど、「萌え」てはいないと思います。というのは、それが概念化=呼称化がされていないことと、そうした絵柄を好む人々が自覚的に「眼が大きくて鼻と口が簡略化されているとキュピーンと来るんだよなー。他にもそういう絵柄ないかなー」とは思っていないとぼくは考えるからです。
 ぼくは、「萌え」は一定の形式化、様式化、要素化と名称化=概念化が不可欠だと思います。というより、そうしたものに性的興奮を覚えたり、感情移入したりする行為を「萌え」と呼ぶべきだと思います。当然、上記の認識は

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

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を受けてのものですが。
 だから、やおい系のあの絵柄に名称がつけば、萌え要素と認定して良いと思いますが、おそらくはそうはならないでしょう。というのは、(主に)男性向けの萌え絵、というより美少女絵における「大きな眼と簡略化された鼻と口」という絵柄は、OTAKU文化発生以前から、マンガにおける基本的な様式なので。それと同じように、あの絵柄も萌え要素化はおそらくしないでしょう。