ややbusu 1 (ヤングマガジンコミックス)

ややbusu 1 (ヤングマガジンコミックス)

というマンガがある。主人公は女の子なのだが、まず上掲の画像を見て欲しい。……この子、「ややブス」か? 確かに容姿の好みはひとそれぞれで、それは各人の自由である。しかし、一般的に言って、この子は「ややブス」なのだろうか? 少なくとも、ぼくはこの子は絶世の美女とは思わないが、可愛いと思う。そして問題は「一般的な美的基準」というやつだ。それは何によって作られているか? もちろん、雑誌やTVを中心としたマス・メディアである。ぼくたちの美的基準はそれらや、実際に会った事のある人、街中ですれ違った人々との体験によって作られる。
 「一般的な美的基準」がどのように存在するかはさておき、それが吉本隆明の云う共同幻想よろしく、幻想として機能しているとしよう。そして、その基準において美人とされている人を好きになるとしよう。ここまではいい。しかし、そうした美人とコミュニケーションをするには、当然、自分にもそれ相応の魅力がいる。まして、交際したいと考えるなら(外見でなくても良い)相当の魅力が必要である。
 このマンガは「彼女いない=人間/男失格だからとりあえず彼女ゲットしたけど、外見がちょっとな……」という阿呆な男と可愛い女の子の物語と言える。
 それにしても面白いのは、この子が鼻と口を隠すといわゆる美少女になるところだ。こうしたマンガの記号的表現の機能についてはもっと論じられるべきだ。