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「太宰治物語・人を喜ばせることこそ至福!天才作家の知られざる明るい素顔と妻だけが知る真実…夫は“人間失格”だったのか?」を観る。役所広司さんほどではないが、豊川悦司さんの太宰は結構良かった。それ以上に菅野美穂さんと伊藤歩さんが良かった。弟子達の人選も良かったと思う。
脚本、演出に関しては、含羞、笑いと悲哀、自責の念を対立項ではなく、混在するごとくに描いたほうがぼくの太宰像に近かったが、こういうのは人それぞれだろう。
太宰を扱う表現(創作、評論、伝記、研究)は難しい。太宰は、奥野健男先生が「潜在的二人称」という言葉でいみじくも表現したように、読者の懐に絶妙に忍び込むような小説を書く作家なので*1、読者に他者の太宰像を拒絶させるところがあるからだ。
太宰作品には、セカイ系とか、非モテとか、ニート、ひきこもり、酒鬼薔薇のような脱社会的心性とか、今日の社会状況やライトノベルに見られるようなモチーフの宝庫だ。太宰から現代を、特に現代のサブカルチャー*2を記述することは重要だと思う。
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