狂脳亭日常
- 作者: 田中克彦
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/12/15
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チョムスキーは言語学において、変形生成文法と言語の表層構造/深層構造の二分化という理論を立てたことと、ベトナム戦争以来のアメリカ政府批判者として知られている。
チョムスキーの理論を乱暴に要約すると、人間には他の動物と違って、生来、言語を操る能力を持つ(=深層構造)。しかしそれが様々な要因によって(文化や地政学的な諸々の事象)様々な言語として現れている(=表層構造)。言葉の外に論理的で抽象的な深層構造があるからこそ、人は母語以外の言語を学習しうるのだし、言語学に歴史学や構造主義は必要なく、己自身を対象に考察すれば良い。
とまあ、こんな感じ。思いっきりソシュールと対立する主張。
しかし言語学について門外漢であるぼくですら、ホモ・サピエンスはこの三〇〇万年進化していないのに、文明や文化は様々な変化を見せてきたことから考えても、チョムスキーの理論はおかしいと思っていたけど、田中さんの上記の著書を読んでその考えをますます深めた。
田中さんはチョムスキーの理論には批判的な態度ではあるが、何故、チョムスキーの理論がある時期に流行したのかについて考えること、つまり西洋における普遍主義への渇望について考えることは重要だと説いている。
また、話は変わるが、チョムスキーが言語を個人の生来の能力と考えたのに対して、ラカンが社会と言語を組み合わせて象徴界という概念を提唱したことの対比は面白い。
以上、妹が
- 作者: ノームチョムスキー,Noam Chomsky,山崎淳
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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