続・私立眼鏡学園のこと。

 昨日に引き続き、id:rivegaucheさんのレポに関するぼくの意見を書きます。

 まず、id:rivegauche:20050530より。

少女愛好の男性オタクの大半は、BLに対して関心を持たず、当然知識も薄い。その現状下において、彼らの大半は、単にBLを無視するのみならず、BL愛好家の女など気色が悪いと思っているのが実情のはずである。そして彼らはその差別意識を隠さない。

 この点については、男性オタクの大半がやおいやBLに関心がなく、知識が薄いという点については同意します。ぼくはコミケはできる限り全日参加しますし、たまにコミックシティなどのやおい、BL中心のイベントにも行きますが、やおい、BL中心のコミケ1日目(または2日目)やコミックシティなどでやおい/BL同人誌を買っている男性オタクはほとんど見ませんから。
 しかし、男性オタクの大半がやおいやBL愛好家の女性を気色が悪いと思っているという点は、率直に言ってなんとも言えません。これはぼくがやおいやBLも好きであり、かつまた男性オタクであるからかも知れません。実際にそうであるならば、そうだと言える根拠を是非、id:rivegaucheさんに示していただければと思います。*1
 最後に、今回のイベントをやりましょう、と出演者およびスタッフの皆様に呼びかけたのはぼくです。ぼくは呼びかけの当初、以前参加したイベントに参加された女性のアンケートを拝読して、男性オタクだけでなく、男女共に楽しめるイベントにしたいと表明し、ぼくの呼びかけに皆様は快諾してくださり、イベントを開催することができました。
 しかし、それでもなお、至らぬ点があったのであれば、それは企画者であり、男女共に楽しめるイベントをもっとも強く切望したはずのぼくの不徳の致す結果です。また、ぼくはid:rivegaucheさまのレポのコメントとして

ぼくは、rivegaucheさまの指摘を受けた上でもやはり、眼鏡イベント、あるいはマイノリティ差別反対運動をやめません。恥をかいてでも、ミスがあったにせよ、こうしてrivegaucheさまのようにそれを指摘してくださる方がいるわけだし、そうしたリアクションや内省を下に次のアクションをしていこうと思っていますから。

と書きましたが、これはミスを開き直るつもりでも、犠牲があるにせよ、マイノリティ差別反対運動という大義のためには仕方がないと言いたいわけでもありません。確かにぼくはそうした問題に長い間無自覚でしたし、そうした問題について考え、自分なりに行動してきましたが、まだまだ先々を見通すような見識は持っていません。しかし、しかしですよ、ぼくはオタクになったのとほぼ同時期に宮崎事件が起こり、所謂有害コミック騒動〜児童ポルノ禁止法〜青少年健全育成対策基本法案などをリアルタイムで目の当たりにしてきた者として、沈黙はしません。もちろん、マイノリティを自称する者が他のマイノリティを抑圧するのは愚の骨頂ですから、他者の立場や考え、眼差しにも(表現規制推進派の人々をも含め)敬意を払い、コミュニケーションを取り、どこかにお互いが譲り合える地点を模索し続けます。ぼくは自分の未来のことなんてどうでもいいと思ってますが*2、このことだけは表現を、とりわけOTAKU文化を愛し、それを商売とする者としての、どうしても譲れません。

*1:確かに、かつてマンガ家のあずまひでお氏が同志と共に「打倒やおい」を標榜してロリコンマンガ同人誌を作ったという史実はあります。しかし私見では世代を経るに連れて、かつて男性おたくが持っていたやおいやBLに対する偏見は薄らいでいると思います。というか、「ぼくらは男性向けが好きだし、女性のOTAKUの人たちはやおいやBLが好きだし、それぞれ好きってことでいいんじゃないですかね」という感じで、単に関心がないのだと思います。他者に対する最低限の配慮は確かに必要ですが、内的必然性がないものに興味を向けろというのも変な話だと思います。ちなみに、イベントでのアンケートやオフレポを見る限りでは、「やおいやBLに興味がなかったけど、2時間目は面白かった」という男性のお客さんの意見が非常に多く見られました。もちろんこれは、渡辺由美子さんをはじめ、2時間目の出演者の皆様の尽力によるものですが。

*2:だってそんなものはそれこそ未来永劫来ませんから。