物語の読み方。

 昼過ぎに永山さんの事務所にて打ち合わせ。打ち合わせが徐々に音楽やマンガやその他諸々の四方山話に移行する。中世バロック音楽は早速聴いてみよう。その他、様々なヒントをいただき、帰る。
 昨日から読み始めた

煙か土か食い物 (講談社ノベルス)

煙か土か食い物 (講談社ノベルス)

を先ほど読了。舞城さんの作品はセックスと暴力描写についてとかく言われるが、性行為と暴力行為そのものの描写より、それらの描写によってつむぎ出される圧倒的な悲壮感を強烈に受けた。
 ぼくは表現に求めるものはその内的世界の受け手への感染率の高さなので、自分の考え方や趣味嗜好との一致の度合いはけっこうどうでもいい。舞城さんの作品は「好き/嫌い」という軸で分けると「嫌い」に属するが「すごい/どうでもいい」の軸で分けるとすごいと思う。永山さんの事務所に行く途中で雨が降ってきたので読書を止め、ふと空を見上げたときに自分の認識と思考が舞城文体になってたもんな。狭義の「ミステリ」として、あるいは「物語」としては駄作だと思うけど、小説としては素晴らしい。